2011年5月3日火曜日

5月5日の選挙制度改正レファレンダムを前に

 明後日5月5日、イギリスで、選挙制度改正のレファレンダムが行われる。

昨年の選挙で、史上初の「連立政権」を樹立したイギリス。しかし、連立合意の一つの重要な柱には、保守党と共に政権入りした「リブ・デム(自由民主)」党の選挙制度改正があった。

イギリスの現行選挙制度は、選挙区制。日本の制度と似ており、選挙区ごとの多数決制であるため、新しい政党、全国に支持者が散らばっている政党にとっては、大変ハンディキャップが大きい。選挙前の世論調査では相当数の支持があったリブ・デム党が、投票後に蓋を開けてみたら、意外なほどに少ない投票数であったことが、選挙の不公正さを顕にした。

最もリブ・デム党の党首クレッグは、オランダやドイツなどの「比例代表制選挙」にはあまり積極的ではないらしい。今回の制度改革案は、フランスの選挙性にもやや似ていて、各選挙区で過半数を獲得する候補者がいなかった場合には、少数獲得候補者を廃して、一人の候補者が過半数を得るまで再選挙する、というものだ。(AV)

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選挙制度は、政治家にとって投票を操作する重要な道具だ。

現行の制度で得票数の多い、つまり、現政府で支持者を得た政党の政治家は、元来、その制度を変える意欲は持たないのが当然だ。それだけに改正を求めるのは少数派であり、改正の実現は困難を極める。

だが、そういう、政治家の選挙操作があるために、政治家自身が、有権者からの信頼を失い、投票行動を低下させ、人々の政治参加意識を萎えさせて、国家社会そのものの「民主」性を麻痺させる危険も持っている。

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イギリスでの来るレファレンダムもまた、リブ・デム党の支持低下傾向の中で、実現されるのかどうか懐疑される傾向も強い。
ただ、そこで今何が議論されているのか、それは、日本の有権者も何より耳を傾けておくべきことであると思う。日本の政治家は、多分、イギリスの選挙制度が民主化されることを好まないだろうし、マスコミのジャーナリストたちの大半は、イギリス国内の改正議論など追いかけてもいないだろう。だからせめて、日本の知識人には英語の情報を読んでおくことを望みたい。政治学者だけの問題ではなく、一般知識人の教養として。

http://www.economist.com/node/18617926?story_id=18617926